子どもを台所に!子どもが料理をすることで得られる、素晴らしい効果
2015.10.01 Author:Manyoria int’l(マニョリア) 代表 木村 万紀子
台所で夕食の支度をしていると、「お母さん、お料理手伝ってあげる」「私(僕)もお料理がしたい」と子どもに言われたことはありませんか?
そんな時、あなたの心境は?
私も園児、小学生の子を持つ親なのでよくわかります。
「お母さん、忙しいから、また今度ね」「子どもは危ないから手伝わなくていい」
そう言って、子どもを台所から遠ざけていませんか?
でも、「子どもが料理をする」ということに、勉強や習い事では簡単には得られない、脳への刺激や心の育ちがあるとしたら?
しかも、子どものやりたい気持ちが満たされて、しかもその効果を高める、料理の取り組み方があるとしたら?
子どもの料理がしたい気持ちを、後押ししたくなりますよね。
今回は、その効果と秘訣をご紹介したいと思います。
<子どもが料理をする効果>
1.五感を刺激することで、脳が活性化する。
料理は五感を働かせて作り、五感で味わうもの。
包丁で切る、ピーラーでむく、混ぜる、丸める、絞る、すりばちでするなどの、さまざまな道具を使って、5本の指を器用に動かす作業が、料理を作るたった数十分の中に、ぎゅっと凝縮されています。
それに加えて、料理には、ジュー、パチパチ、トントンなど、動作に連動して生きた音を感じることができます。
料理のできあがりを考えながら作業することで、感性や創造力も養われますし、料理の盛り付けは立体ととらえると空間認知力も高められます。
これらはすべて、大脳の前頭前野や前頭極などを活性化させます。
2.技を盗むように、真似をする力。
まずは、お母さんが見本を見せてあげてください。じっと見つめてすべてを頭に入れ、自分も同じようにするために見当をつけながら、切る幅や力加減を調節するなどして作業することになります。
この真似をして、再現して体得していくというのも、脳への刺激となります。
3.段取りを考え、目的を持って自ら動ける。
料理数品が効率よく作れるように、段取りを立てることで、今何をすべきかの判断ができるようになります。
4.「達成感」の積み重ねが、「自信」につながる。
「ひとりで料理が作れたよ!」という達成感を、ぜひ子どもに味わせてあげたいものです。
料理は数十分集中して取り組むだけで、一品が完成し、大きな達成感が必ず得られるものです。
日々の達成感を積み重ねることができ、家族がおいしいと喜んで食べてくれる(=認められる)ことによって、子どもの心の中にやる気と自信が生まれます。
子ども時代に、達成感をどれだけ得ることができたかということが、 自らをかけがえのない存在だと感じ、自身の価値を認める「自尊感情」を養うことにつながると言われています。
自尊感情が高い人は、困難に出会っても、自分を信じ、粘り強く努力することができます。
『食べることは生きること』『食は生きる力の土台となる』という言葉があります。
人は食べないと命を維持できないというのはもちろんのことですが、社会で「生き抜く力」を身につけるということが、この言葉の本質にあるような気がします。
5.思いやりの心を育む
「家族のために料理を作ってあげたい」という気持ちが芽生え、人の役に立てる喜びを常に感じることができます。
いつも料理を作ってくれるお母さんへの感謝の気持ち、食材を育ててくれた人や自然への感謝の気持ちを持つようになります。
今挙げた、子どもが料理をしたときの5つの効果はほんの一例です。
我が子の「料理がしたい」という言葉が、次からは違って聞こえそうな気がしませんか?
では、実際に、どんな風に料理をさせてあげるとよいかという秘訣をお伝えします。
<子どもに料理を上手にさせる秘訣>
1.はさみを使いこなす
はさみは、手を切る心配がありませんから、子どもに安心して作業を任せておけます。
キッチンばさみでなくても、刃のかみ合わせがよい、造りがしっかりしている、子ども用の文具ばさみを1本、料理用として購入することをおすすめします。
いろんな食材を切らせてあげると、子どもたちはたちまち楽しくなってきます。
2.お手伝いではなく、一品を担当させる。
最初は、ちょっとした手伝いからはじめても、そのうち、一品を作らせてあげてください。
「この料理は私が一人で作ったの」と食卓に出して、家族みんなが食べてくれるのをじっと見る我が子を想像してください。
お母さんのお手伝いよりも、何倍もの達成感が得られます。
まずは、卵焼きから。次のステップでは、味噌汁がおすすめです。
私の主宰する料理教室では、2歳から全員が上手に卵を割れるようになります。やらせてみると、案外できるものなのです。
毎日、卵焼きが続いても、「うちの子が作った卵焼きは、世界一おいしい」といって、笑顔で喜んであげてください。
「明日もまた作ってあげる」と満足気な表情を見せて、張り切ってくれるでしょう。
「子どもが料理をすること」についてお話ししてきましたが、いかがでしたか。
たくさんほめてあげてください。そして見守ってあげてください。
子どもに「作ってくれてありがとう」と感謝の言葉をかけてあげてください。
単純に、子どもをやる気にさせるためではありません。
このコミュニケーションで、自分は愛されているという感覚を味わって、子どもは自身の存在価値を高めることができると思います。
子どもの人生80年の中で、親が一緒に住んで身近で何かを伝えられるのは、もしかすると18歳までかもしれません。
そのときに、どんな大人に成長していたら、子どもは幸せに生きれるだろうか。そう考えながら、私も日々育児に奮闘しています。
長い目で見ると、一緒に台所に立てる今の時間は、子どもにとっても私にとってもかけがえのないものかもしれません
Author:Manyoria int’l(マニョリア) 代表 木村 万紀子
子供料理教室「キッズ・クッキング」、料理×科学教室「キッズ・サイエンス・クッキング」主宰
Manyoria int’l(マニョリア) 代表
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