利用者とともにある子育て支援センターを目指して

奈良佐保短期大学構内に位置する奈良市地域子育て支援センターゆめの丘SAHOは6年目を迎えました。

大学内の多様な環境利用や保育・福祉・栄養関係の資格取得を目指す学生との交流、専門性を有する教員による個別相談など、大学の機能を有効に活用した子育て支援センターです。

ゆめの丘SAHOでは、近隣のみならず奈良市全域から子どもをもつお父さん、お母さんなどの利用者の方がゆったりと和やかに過ごしてくださっています。


 さて、子どもを育てることはとても幸せなことです。子どもの周りにいる家族は、子どもの成長や愛らしい笑顔に喜びを感じ、何物にも代えがたい命として愛おしく育み、そんな家族の中で子どもは心身ともに成長していきます。

しかし、時として子どもの日々の姿に思い悩んだり、多くの情報の中で戸惑ったりすることも珍しくありません。毎日を子どもと常に向き合って過ごすことは、愛するわが子といえども心身ともに疲れることがあっても当然です。子育てを担う親だからこそ、愛しているからこそ子どもの行動や変化に思い悩むのですねconfident


ある日、2歳を少し過ぎた男の子が、同じくらいの女の子が持っているおもちゃを取ってしまいました。きっとそのおもちゃを見てほしいと思ったのですね。ですが、まだ「貸して」と言ったり、我慢したりすることは難しい年齢です。

おもちゃを取られた女の子は大声で泣きながらお母さんのところへ行って取られたことを訴えました。

男の子のお母さんは、びっくりして女の子とお母さんに謝りました。女の子はなかなか泣きやまず、男の子のお母さんは一層厳しくわが子を戒めています。「お友達の使っているものを取ったらだめでしょ」「ごめんなさいって謝りなさい」と繰り返しますが、男の子は謝ろうとしません。私はその様子を見ながら男の子とお母さんに「ごめんなさいって思ってるのよね。何度も言うことで余計に子どもを意固地にさせることもありますよ。」と声をかけました。もちろん使っているおもちゃを取ってはいけませんし、謝ることも大切です。ですが、まだその年齢に至っていないことも考えなければなりません。

 それからしばらくして、この男の子が近くにいた赤ちゃんにそっとおもちゃを持って行きました。それを見たお母さんは「やさしいね」と男の子を思い切り抱きしめながら精一杯ほめました。男の子は大好きなお母さんに褒められてその腕の中でとても嬉しそうです。

私は、「お母さんに褒めてもらってとっても嬉しそうですね。でも、叱るのは難しいですね。」と声をかけると、「そうですね。よその子とトラブルになるとどうしたらいいか・・・。」と困った様子です。大人は子どもの年齢を考えずに自分の価値観や体面で子どものトラブルに対応することがあります。まだまだ小さい子どもなのに周りのお母さんたちの目を気にしたり、相手に気遣うあまり必要以上に叱ってしまったりすることがあります。そんな話をすると男の子のお母さんは涙ぐみながら「そうですね、相手の方に悪いことをしたと思ってどう言えばいいのか分からないこともあります。」と話されました。

子どもを叱る時、時々「何で私は怒ってるんだろう」って思い返すことも大切かもしれません。もしかしたら自分の体面のために怒っている時があるかもしれません。自分の気持ちが収まらなくて、まだ幼い子どもに理屈っぽく必要以上に長い時間をかけて言い聞かせようとしているかもしれません。


 子どもは様々なトラブルを経験することで、我慢をしたり、相手の気持ちに気づいたり、折り合いをつけたりする力を身につけていきます。

ゆめの丘SAHOは親も子もこのような経験をしながら成長していく場であってほしいと願っています。そして私たちスタッフも利用していただく皆さんとともに成長したいと思っています。一緒に笑ったり、考えたりできる心和む場所でありたいと願いながら・・・。

 

Author:奈良市地域子育て支援センターゆめの丘SAHO センター長 和田 公子

公立幼稚園教員勤務を経て、奈良佐保短期大学教員を定年退職
現在、同大学非常勤講師、奈良市地域子育て支援センター長として勤務。奈良県こども・子育て応援県民会議委員。

  • 奈良県の子ども・家庭に関するポータルサイト 子育てネットなら